恵比寿を自称ホームグランドとするしゃもじ隊は渋谷と恵比寿の境目に落ちた小石の音すら聞き逃さない。ましてやあの!!おおぉ!ろぉぅりぅえっ!オエッ!し、失礼。
あのロウリーズが赤坂から恵比寿はガーデンプレイスに移転するってか!何故なのか理由は不明だが恵比寿に激震が走ったのは言うまでもなく、小石どころか巨大隕石が落ちてくるような衝撃でしゃもじ隊の鼓膜完全大破。
ということでもちろんすぐさま予約ズサー。
ここで一応振り返っておこう。しゃもじ家は赤坂のロウリーズに行ったことがある。いつだったかは忘れたが大変良く覚えている。何故ならば父しゃもじが帰り際に『店長を呼べ』と言い放ち、ワシはそれなりにここに通っているが、今日来てこんなにサービスレベルが落ちていることを知り大変に残念である、ワシはこの店が好きだから敢えてこうして言っているのであり、お店としても真摯に受け止めてほしいのである、オイ聞いているのか!と言った趣旨の話をしまくったのだが本人はカケラも覚えてはいまい。正直その場に居合わせていて帰りたかった…
まぁそんな過去の確執にとらわれるしゃもじ隊でもあるまいて。とにかく恵比寿にオープンだ。しゃもじだ、オケラだ、アメンボだ。
しかし不覚にもスタートダッシュに遅れ予約の20時15分には間に合わない。もはやこれまでか。今まさにカタマリのお肉に羽が生えて飛んでいかんとする光景を脳裏に浮かべながら己の未熟を悔い、介錯人無しでいざ切腹をば。辞世の句はいかんとするか。しゃもじは季語になるのでしょうか。
いやいや、いいからお店に電話だ…
がしかし!電話に出んわ!とかオヤジギャグを挟んで何とかなるようなレベルを逸脱して電話に出ない。何度もかけ直し3分以上コールするも出る気配なし。このままじゃガーデンプレイス着いてまうがな。うーん…これは一体どういうことなのか…こうなったら店に着いたら店長に納得行くまで説明してもらおうか!ん?
ハッ( ̄◇ ̄;)
これはまさに父しゃもじのフラッシュバック!血は争えないのか、歴史は繰り返すのか、はかない人生の輪廻転生なのか、謎は深まるばかりだがとにかく急ごう。その場に行かねばわからぬこともある。もしかしたら電話の代わりにピンクの電話を置いてました(てへっ)みたいな可能性だってあるのだ。
となんだかんだいいながら更にガーデンプレイスで迷う…てっきり上層フロアのレストラン街かと思ったら地下なのね。こりゃうっかり八兵衛。
さぁ入店。電話はどこじゃ電話は!と鼻息荒く凸入したが松潤ばりのイケメンの受付に『いらっしゃいませ』と爽やかに笑顔を投げつけられると何だかまぁいっかと思ってしまう意外と小心者のしゃもじ隊。
席に案内されフロアを見回すと評判通り照明はかなり落とされており、ムーディー勝山が右から左に受け流すくらいムーディーな雰囲気だ(うーん古いか…
席は半ドームっぽいカップル席のようなものや壁から奥まったような半個室っぽいテーブルまでなかなかバラエティに富んでいる。赤坂のオープンな雰囲気に比べるとだいぶシャレオツな設定。がしかし箱の制約上で天井が低いのでやや圧迫感があるか。しかし鏡をうまく使ったりしてお店側はよく工夫はされてます。
ほどなく今日のテーブル担当だというお姉さんがご挨拶に。ほおぅ。お主が我らしゃもじ隊を受け持つというのだな。今日出会ったが100年目!ここが地獄の3丁目!まずはしゃもじで素振り200回だ!
今回口コミを見ているとサービスを中心にあまりよろしくない書きぶりが見受けられるようだ。がしかし。誰がなんと言おうとも所詮自分の見た物しか信じない!それがしゃもじ隊だ!今日が一期一会のジャッジメントデーであり当然真剣勝負なのである。返事はサーイエッサーだ。
まずはエビスビールとヴーヴクリコで乾杯。すかさずメニューを吟味。お姉さんいわくコースにするかプライムリブ単品かを決めてもらい、肉の量やカットは後ほどワゴンで肉を運んでくるからそこで決めれば良いとのこと。何を言う!もちろん肉だ!前回のウルフギャングでも散々言ったがこういう店では極力目移りせずに最短距離で目標を達成するのが最も後悔しない振る舞いなのだ。
とはいえプライムリブには肉だけでなくサラダや付け合せがついてくるようです。いいじゃない。
早速ワゴンを引いてお姉さん登場。『スピニングボールサラダを作りまーす♪』ということで名前の通り氷の上でサラダの入ったボウルをグルグル回し始める。回しながらロウリーズの歴史について結構長めのセリフで解説してくれる。往年の染之助染太郎ばりに本日はいつもより多めに回っているのだろうか…
そして!特製ドレッシングの器を頭上高く振りかぶったと思いきや!地上から2mの高さからツツーッとドレッシングをかけていきます!これぞ逆輸入引田天功!
さ、目一杯にグルグルして冷え冷えになった所でサラダを頂こうではないか。とそこに『サラダにはこちらの冷やしたフォークをお使い下さい』と手渡される。なるほど。
ハッキリ言っておこう。冷えたサラダを食べるのに冷えたフォークだとより美味しくなるとかそういうことはまず無い!身も蓋もないが無いものは無い!がしかし!なんというかそういう配慮というか気の利いたサービスがいいじゃないですか。いいですとも。ええ。その冷えたフォークで頂きますとも。これからは冷えたしゃもじを懐に忍ばせておくようにだってするよ。約束だよ。
お姉さんいわくお店特製のペッパーを振りかけると更に美味しくなるということでフリフリしつつ頂きます。うむ。確かに冷えた感覚を残しつつシャキッとしたサラダ。特筆はミニトマトがエライ熟していて甘くて味が濃くて実に美味。
ワゴンには大量のミニトマトが乗っていたのでてっきりミニトマト祭りかと思いきや、まぁそんなわけはないかと若干ショボーン。でもトマト美味しいと幸せだわ。
そうこうしているうちにお姉さんが『あそこのお客様が終わったらこちらに肉のワゴンが来ますので』とささやく。来たか!この店の心臓とでも言うべき肉のワゴン!その銀色に光るボディは難攻不落な要塞を思わせる。しゃもじ隊とて美味しいものならばいかなる時にでも即時に駆けつける役目を仰せつかったスペシャルフォースだ。最強の矛と楯な様相を呈しつついざメインへ。
ワゴン内部には確かに肉の塊が乗っている。しかもお姉さん曰く焼き加減は申し出に応じて用意しますとのこと。いやいや…ワゴンには火器らしきものはないし、焼き加減の調整など不可能ではないのか。ここにロウリーズの秘密有りということか…
そんなことにお構いなくトーキョーカットを焼き加減ミディアムとロウリーズカットの焼き加減ミディアムレアをオーダー。サイドメニューを聞かれるがここは浮気はせずにスピナッチで。何度も言うが大事なのは肉であるのだ。基本のセットでマッシュポテトはついているようだ。
( ̄◇ ̄;)ろ……
ロウリーズカット…
ス…ステーキかよ…
と目の前にカットされたぶ厚すぎるお肉さんと対峙し真っ白な灰に。食べる前に敗色濃厚なしゃもじ隊ピンチ。
しかしピンチはチャンスだ!早速頂こうじゃないの!
うーむ。柔らかくて美味い。ジューシー。ソースも思ったよりアッサリしていて食べ飽きない。味の変化を楽しむなら敢えてテーブルに置かれている普通のコショウの方が良い気がする。
スピナッチはまあまぁかな。野菜の付け合せとかの方がローストビーフにはあいそうだ。
ワインはグラスで数種類揃っていてラインナップも幅が広くて良いですな。赤も白もミニデキャンタに入れて持って来てくれますが結構量がしっかりあって好感が持てます。
はい。ということでまとめよう。
『ローストビーフを食べるレストラン』というイチローも驚愕なかなり狭目のストライクゾーンなわけだが、そういうわけであまり余計なことは考えずにプライムリブを食べれば良いのだと思う。やいのやいの言いながらスピニングタイムを楽しんでサラダをつまみ、デカイ肉を食って満足する。それがこのお店の楽しみ方であろう。うむ。至ってシンプル。
サービスは色々他の口コミでも書かれていたので事の真相を半ば楽しみにしていたのだが、担当の人も感じがよく、肉食べてる時も『焼き加減は大丈夫でしたか?』と声をかけてくれたり終始フレンドリーでロウリーズっぽかった。担当によるのかしら…でも隣の席の担当も感じ良かったがな。ちなみに外人スタッフさんが結構多い。帰り際もマネージャーぽい人がちゃんとお見送りしてくれたし、ミニしゃもじあげちゃうレベル。
老舗のロウリーズが最近の赤身肉ブームに乗っかって恵比寿の地で新たに花開き、肉を頬張る場所が増えるのは大変良きことである。
ごちそうさまでしたー